finland
Metsä ja järven maa
森と湖の国

フィンランドはどんな国?と聞かれて,まず出てくるのは(最近は「IT先進国」というのもありますが)「ムーミンとサンタの国」と並んでこの「森と湖の国」でありましょう.実際,フィンランドには数えきれないほどの湖があり,国土面積の10%を占めます.とくに「湖水地方」と呼ばれる東部では陸と湖の面積の比率がほぼ1:1になっています.また,森林は国土の69%を占め,フィンランドの大企業には木材産業,およびそこから派生した重機械工業や土木業の会社が多く見られます.

最近,虫歯になりにくい甘味料「キシリトール」を使ったガムが日本でも発売されています.キシリトールガムのコマーシャルにフィンランドの学校や家族が使われていたことでもわかりますが,キシリトールは白樺の木から作られるもので,フィンランドで大量に生産されています.フィンランドでは,食後にキシリトール入りガムをかむ習慣を普及させることにより,子供の虫歯を大幅に減らすことに成功しています.

このページでは,フィンランドの湖水地方(東部の,湖の多い地域)を旅行した時の写真を使って,森と湖の風景をご紹介いたします.

フィンランドの風景といえば,必ず紹介されるのが,ここ,Punkaharjuです."harju"とは,「湖と湖の間に挟まれた狭く細長い土地」のことで,いわゆる「地峡」のことです.「フィンランドの天橋立」とでもいいましょうか.この写真は,近くの給水塔から撮ったものです.フィンランドには,このように給水塔の上が展望台になっているところが各地にあります. metsa-1

フィンランドの湖には,右の写真のように,島がたくさん浮かんでいるところが多いです.フィンランドの湖は,かつてこのあたりを覆っていた氷河が後退していくときに残した「引っ掻き傷」だそうです.このため,湖はいずれも浅く,また形が複雑で島の多い形になっています.

この写真は,Kuopio市の展望台から写したものです.ここは給水塔ではなく展望台専用の施設ですが,私たちは一度間違って展望台ではなく天文台へ行ってしまいました.

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これも同じくKuopioの写真です.下の方に写っているのはサマージャンプ台です.Kuopioは,スキージャンプのワールドカップの開催地としても有名です.

さて,これらの風景ではいずれも陸地が森に包まれていますが,これはフィンランドではどこでも見られる景色です.日本では森というと山の中という感じがしますが,フィンランドでは北部以外にはほとんど山がありません.ですから森は平地にあり,展望台から見ると地平線までずっと森ということになります.空気が澄んでおり,また湿度が低いせいで霞が出ないため,実際に展望台にあがると地平線に至るまで木が一本一本見えるかのようです.

なお,「フィンランドではどこでも見られる景色」と書きましたが,最北部では,ある緯度以上では急に高い木がなくなってしまいます.これは,中緯度地方では高山にある森林限界が極地方では平地に来てしまうためです.

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これは湖のほとりで撮った写真です.この場所は国道に沿ったところですが,道路と水面はほとんど同じ高さで,護岸等もありません.年間で水位はほとんど変わらないので,とくに洪水等の問題はないようです.水面に近づいてみると,浅いところでは水が赤茶色に見えます.これは,落ち葉などが堆積しているためだそうです.なお,真中に写っているのは,私と,一緒に旅行した友人です. metsa-4

フィンランド人には森の中の湖辺にサウナ小屋を別荘として持っている人がたくさんいます.研究所で同室だった人にも,お父さんのもっている別荘に兄弟が集まり,森で夏休みを過ごしたときの写真を見せてもらいました.彼いわく,

「夏休みに旅行して,『たくさんの人に出会えて楽しかった』と言うのがドイツ人.『誰とも会わなくて楽しかった』と言うのがフィンランド人」
「理想の夏休みは,半径20km以内に人がいないところでのんびり過ごすこと」

だそうです.