私がフィンランドで滞在していたのは,Tampereというところです.この町は,私の生まれ育った大阪と,良く似たところがあります.
Tampereは,フィンランド第2の都市です.
正確には,「第2の都市だった」というべきでしょう.現在は,人口では首都圏の都市Espooに抜かれて第3位になってしまいました.ちょうど,Helsinki=東京,Tampere=大阪,Espoo=横浜,という関係になっています.
「日本地理の雑学事典」(浅井建爾著)という本では,「大阪は関西地方,いや西日本の政治経済の中核都市であるのに対し,横浜市は東京の衛星都市にすぎない」と書かれています.横浜は古くからの港町で独自の文化をもっていますから,このような記述は横浜の人には心外ではないかと思いますが,この記述はEspooにはよく当てはまります.
Espooには,学園都市Otaniemiや計画的に作られた住宅地Tapiolaなどいくつかの中心がありますが,「これがEspooの都心」といえるところはなく,Helsinkiの一部という感じがします.また,Espooの市制施行は1972年とごく最近です.
なお,各都市の1994年の人口は,
- 東京23区:787.4万 / Helsinki:51.6万
- 横浜 :326.5万 / Espoo :18.7万
- 大阪 :248.1万 / Tampere :17.9万
でした.ほんとにフィンランドは人が少ないです.フィンランドには,人口10万以上の都市は6つしかありません.
Tampereには,Manseという通称があります.Manseとはイギリスのマンチェスターのことです.
Tampereは,2つの湖の地峡部につくられた町です.この2つの湖には高低差があり,2つの湖をつなぐ急流の川Tammerkoskiが町の中を流れています.この急流につくられた水力発電所の電力を使って,繊維工業が興りました.このため,Tampereは「フィンランドのマンチェスター」と呼ばれるようになりました.
このレンガ造りの発電所は現在も稼働しており,まわりの河原は公園になっていてTampereの名物になっています.また,20マルッカ札のデザインにも使われていました.
大阪も戦前は軽工業が盛んな土地で,「東洋のマンチェスター」と呼ばれていたことがあるそうです.
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1994年12月のTammerkoskiの風景.
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2003年6月のTammerkoskiの風景.
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(クリックすると,さらに写真と説明が別ウィンドウで表示されます).
※Tampere電気局のウェブサイトでは,トップページにこの水力発電所の写真が使われています.
Tampereには,ケバブ屋さんがたくさんあります.
ケバブ(Kebab)はトルコの料理で,羊の肉の固まりをぐるぐる回しながらあぶり,表面をうすくそぎ落したものです.フィンランドではこのケバブをファーストフードとして売っている店がたくさんありますが,なぜかTampereにはとくに多く,目抜き通りにはあちこちにならんでいます.多くはトルコ人の経営のようです.
大阪の伝統的ファーストフードといえば...もちろん,お好み焼きとたこ焼きですね.実際大阪ではどこの駅の前に行ってもたこ焼き屋が出ています.
余談ですが,フィンランドで最初のマクドナルドはTampereにあります.開店は1984年のことで,そう古くはありません.
大阪に阪神タイガースがあるように,Tampereにはプロアイスホッケーチーム"Ilves"があります.
Ilvesのウェブサイトを見ていただくとわかりますが,阪神タイガースのシンボルが虎であるように,Ilvesのシンボルは猫です.Ilvesとは,野生の猫の一種です.Tampereには,Hotel Ilvesというホテルもあります.
※アイスホッケーチームIlvesについては,上記サイトのトップページの右上にある"JÄÄKIEKKO"(アイスホッケー)をクリックしてください.
Tampereには,あまり観光名所がありません.
「地球の歩き方」を見ても,「ムーミン谷(Muumilaakso)」(ムーミンの博物館)と湖の遊覧船くらいしか記述がありません.フィンランドで英語版の日本観光案内を見ましたが,大阪の記述は京都や奈良のついでという感じでした.
そういう町ですが,私にとっては大阪もTampereも,思い出のいろいろある大事な町です.
Tampereについては,このサイト "Tampere Region" をどうぞ.
大阪については, このサイト「私的大阪学」をどうぞ.