「白夜」とは,高緯度地方での,夏至前後の暗くならない夜のことを言います.私が住んでいたTampere(北緯61.5度)では,北極圏には達していないので夏至の日にも一応太陽は沈みますが,約2カ月の間,暗くならない夜が続きます.Tampereでは夏至の日の日の入りは午後11時15分(夏時間)です.
不思議なことに,「白夜」に相当する言葉はフィンランド語にはありません.表題のyötön yöとは,yö = 夜,-tön = 〜がない,という意味で,「夜のない夜」という意味ですが,こういう言い方はフィンランド人もするそうです.これに対して,冬の太陽が出ない日に対しては,ちゃんとkaamosという言葉があります.
1日には,昼があって,夜がある,と思っている人には,白夜は大変不思議な現象で,極限の土地にやってきたという実感を感じさせてくれます.太陽は東から出て西に沈むと私たちは習いましたが,夏の高緯度地方では太陽は北から出て,空を一周回って北に沈みます.私のいた研究室は北向きだったので,夜10時を過ぎると西日ならぬ「北日」が入りました. |