外国語を紹介するときに,「いくつか単語を教えてください」といわれてまずあげるのは,この「はい」「いいえ」,あと「ありがとう」「こんにちは」「さようなら」くらいでしょう.フィンランド語では一応「はい」は"kyllä",「いいえ」は"ei"ということになっていますが,実はこれ,それほど単純ではありません.
"Kyllä"は,「そのとおり.」と,はっきり肯定するときには使いますが,単にあいづちをうつときには使いません.確かに,いちいち「キュッラ,キュッラ」とあいづちとうっていては疲れてしまいそうです.
こういうときには,"joo"を使います.この"joo"を,「息を飲み込みながら」発音する人がフィンランドにはしばしばいます.字では表現できないし,私は真似できないので音声でもお聞かせできないのが残念です.
また,「〜しますか?」−「はい.」の形の会話では,「はい」という単語ではなく,「〜します」というそれぞれの動詞を適切な人称に変化させて使います.例えば,
A: "Puhutko suomea?" 「フィンランド語を話しますか?」
B: "Puhun." 「はい.」(puhua「話す」の1人称単数形)
A: "Onko tämä kynä?" 「これ(tämä)はペン(kynä)ですか?」
B: "On." 「はい.」(olla「〜です,ある」の3人称単数形)
となります.実際の会話でとっさにこのように反応するのは私にとってはかなり難しく,いつも"Joo, joo."とかいってごまかしていました.ですからスーパーのレジで「小銭はありますか?」と聞かれて"On."と答えることができた時はかなり感動しました:-)
さて,「いいえ」の方ですが,実はこちらも人称で変化します.例えば,
A: "Puhutko suomea?" 「フィンランド語を話しますか?」
B: "En." 「いいえ.」(1人称単数形)
A: "Onko tämä kynä?" 「これ(tämä)はペン(kynä)ですか?」
B: "Ei." 「いいえ.」(3人称単数形)
となります.つまり,"ei"は3人称単数形なのですが,こちらの方は人称変化を無視していつでも"ei"と言っていても,それほどヘンではないようです.
そういえば,"ei"って「いえ」の反対ですね.